食品としてはもちろん、漢方薬としても汎用されるシソ。
香り高く和製アロマの代表格ともいうべき存在です。
今回はシソの様々な魅力についてご紹介していきます。
シソの歴史と成分
シソの香りの正体は主に以下二種類の精油成分が混じったものです。
- ぺリルアルデヒド
- リモネン
この二種類のバランスが変化することで香りにもバリエーションが生まれます。
シソはそもそも種類が多く、天然のものは見た目も香りも産地でかなりばらつきがあるはずです。
交雑もしやすい植物ですので同じ畑でも昨年と今年のシソでは香りが違う、なんていうことは往々にして起こります。
そんなときは「ぺリルアルデヒドとリモネンの比率が変化したのね」と思い出していただければ嬉しいです。
シソにはこの二種類の精油の他にも注目すべき成分がいくつかあります。
その成分は漢字で「紫蘇」と書く由来となっています。
それぞれ「むらさき」、「よみがえる」と訓読みできますが、こんなエピソードがあるんです。
昔々の中国、後漢という時代が終わろうとしている頃です。黄河流域の大都市・洛陽で蟹の大食い競争がありました。
なんとも贅沢な競争ですが、不幸にもそこに参加した若者が食中毒で命を落としかけます。
そこに現れたのが名医の華佗(かだ。実存したかは怪しいですが漢方のエピソードにたびたび登場する人です)。
華佗が薬草を煎じたむらさき色の薬を飲ませると若者はみるみる元気になりました。そこでこの薬草に「紫蘇」と名付けましたとさ。
お話の真偽のほどは定かではありませんが、実際にシソには紫色を呈するシソニンというアントシアニンの一種と、抗菌作用を示す物質が含まれます。
抗菌作用の主成分は先にも述べたぺリルアルデヒドですが、これは赤じそにも青じそにも共通で含まれており、あの悪名高いアニサキス幼虫にも有効なことがわかっています。
お刺身のつまにされるのも理にかなっていますね。
イライラにも落ち込みにも!メンタルが安定しないときの頼みの綱
漢方薬に用いられるシソは赤じそです。
紫蘇葉(しそよう)または蘇葉(そよう)と呼ばれますが、青じそや片面だけが赤いものは漢方処方には使いません。
香りが強く葉が縮れたチリメンジソがより良いとされていて、初夏に葉を摘んで日陰で乾燥させます。
古くなって香りの飛んでしまったものではなく、香りのしっかりした新しいものを選びます。
こうして作られた紫蘇葉は「気」のコントロールが得意な生薬です。
気とはまたいかにも漢方的な言葉ですが、人が生命活動を維持するための根本的なエネルギーのことを指します。
病気に対抗する力や、生き生きと前向きでいることもまた、気の力が大きく関わるところです。
気は少なすぎてもダメ、上昇の性質がありますがうえに上りすぎてもダメ、滞りなく充分な力でスムーズに流れているのが理想的です。
紫蘇葉にはイライラを抑える効果、そして落ち込みを緩和する効果の両方があります。
それぞれぺリルアルデヒドとロズマリン酸という成分の関与が明らかにされていますが、どちらも精油に詳しい方なら聞き覚えがあるかもしれません。
ぺリルアルデヒドはその鎮静作用から不眠に応用されたり、またロズマリン酸は同じシソ科のローズマリーで初めて見つかった成分で抗酸化作用のあるポリフェノールの一種です。
漢方は成分分析を得意としませんので、歴史的な漢方の偉人達も細かな成分については当然知りえなかったのですが、「気の巡りが滞ってイライラしたり落ち込んだりするときに」という表現で現代まで紫蘇葉の有効性を伝えてきたのですね。
一方的に鎮静させる・高揚させるということではなく、どちらの効果も併せ持ってバランスを整えてくれるシソは、薬だけでなく普段の生活にも積極的に取り入れていきたいですね。
香りだけじゃない!五感で楽しむシソ
シソニンやロズマリン酸に代表されるシソの抗酸化物質にはアンチエイジングの効果が期待できます。
ストレス対策に取り入れたシソが、シミやしわにもいいなんて、なんて素敵でお得なんでしょう。
吸い込んで食して、存分に味わってください。
色素のシソニンがphで変色する様子は感動的な鮮やかさですので、ぜひこちらも堪能していただきたい!
そこでおすすめしたいのが手作りシソジュースです。
水や炭酸水で割って美味しい!紫蘇ジュースの素レシピ
- シソの葉:200g以上
- 水:400ml
- てんさい糖:300g
- リンゴ酢:120ml
(※写真では乾燥シソを使用していますが、乾燥の場合20gもあれば十分です)
①シソはしっかりと水洗いします。
②分量のお水を沸かし、沸騰したらシソを入れよく煮だします。
③5分ほど経ったらシソの葉を絞って取り出し、てんさい糖を加えてしっかりと溶かします。(この時点ではまだパッとしない色です)
④粗熱を取ったらリンゴ酢を入れます(ここで色の変化が見られます!)
⑤清潔な保存容器に移して冷蔵保存してください。お水や炭酸水で割っていただきます。
色の変化は赤じそならではですが、青じそでも同様においしく作れます。
赤じそと青じそ、色も香りも違いますがそれぞれの違いを楽しんでみてください。
ちなみに我が家では青じそジュースのほうが赤じそジュースより人気があります。
青じそは大葉としていつでもスーパーで手に入りますので良ければお試しください♪
まとめ
旬のシソの葉を摘むなら初夏5~7月ですが、種まきや苗を植えるのは春の仕事です。
シソは生命力が強くプランターでも育てられる植物です。自家製のシソジュースを栽培から手がければ愛着も高まります。
葉は摘んでもまた生えてきますので、楽しめるのが一回だけじゃないのもシソ栽培の長所ですね。
葉の季節が過ぎると次は穂紫蘇です。プチプチとした食感がなんとも心地いい穂紫蘇。醤油漬けで売られているシソの実は買えばなかなかの高級品です。
ちなみにシソの実をしごいて収穫すると指が真っ黒になります。
黒くしてでもシソの実は食べる価値ありと個人的には思います。手袋を着用すれば解決する問題ですが(笑)
紫蘇は味や香りはもちろん、色や食感も楽しめます。
アンチエイジングとストレス対策を土いじりから始めてみるのはいかがでしょうか?
よその畑のシソとmyシソをジュースで比べてみるのも面白いですよ^^