中国のことわざには「一日食三棗 終生不顕老」=「1日3粒の棗を食べると老いを防ぐ」という言葉があります。古くから不老長寿の食材として親しまれ、世界三大美女である楊貴妃も好んで食べていたと言われています。
なつめは秋が旬で、成熟した果実はりんごに味や食感が似ています。
乾燥させたなつめは、生薬として葛根湯や甘麦大棗湯といった漢方薬で広く使用されていますが、食品としても入手できる手軽な薬膳食材のひとつです。
今回は乾燥なつめの効能やお茶で手軽にいただく方法をご紹介いたします。
女性に嬉しい!なつめの効能
なつめの薬膳基礎データ
クロウメモドキ科ナツメの果実
生薬名:大棗(たいそう)
性味:甘/温
帰経:脾・胃
効能:補中益気(消化器系を元気にし、エネルギーを補う)
養血安神(血を増やし、精神を安定させる)
緩和薬性(主に漢方薬で使用するとき他の薬の強い作用をゆるやかにする)
消化器系を滋養し、からだを温める
東洋医学で健康を維持するには「気」「血」「水」が充実しており、滞りなくめぐりバランスを保つことが大切だとされています。
なつめは「気」を作るのに重要な消化器系を滋養し調子を整えるため「補気」の食材
です。
また、「気」はからだを温め、体温を維持するはたらきがあるため、消化器系を元気にし、気を充実させることが温活につながります。
なつめ茶レシピ
用意するもの
- 水1リットル
- 乾燥なつめ100g(20~30粒)
- 好みにより黒糖などの甘味
- ①なつめはきれいに洗う。切り込みを入れておくと煮出すときに味が出やすい。
- ②鍋に水となつめを入れ、沸騰したらアクを取り弱火にして1時間程度煮る。
- ③煮詰めすぎないように気を付け、なつめが十分にやわらかくなったら火を止めて木べらなどで良くつぶした後、濾す。
- ④好みにより黒糖などで甘味を足す。さらに体を温めたいときは、シナモンや生姜をプラスしてみるのもオススメ
貧血予防・精神安定や不眠にも
なつめは鉄分豊富で「血」も補う食材
として活用されています。
血が足りず、脳にしっかり血がまわらないと、精神不安や焦燥感、物忘れや集中力が続かないなどメンタル面でのトラブル、また不眠などの睡眠障害が出やすくなるといわれています。
こんなときの精神安定、安眠にもなつめが良いはたらきをします。
カモミール×なつめのお茶レシピ
カモミールは心身をリラックスさせ、安眠のハーブティーとしても有名です。
なつめとブレンドすることで相乗効果が期待でき、彩りもよく目でも楽しめますよ。
用意するもの
500ml程度のティーポットの場合
- なつめ30g/大きめのなつめで3個程度(なつめチップで代用も可)
- 乾燥カモミール50g(100mlに10g程度の割合)
なつめは細かくきざんで(またはちぎって)カモミールと一緒にティーポットに入れお湯を注ぐ。
カモミールは3分程度、なつめは5分~10分程度で抽出できます。
時間差があるのでなつめの味をしっかり楽しみたいときはなつめを先にティーポットに入れ、お湯を少し注いでおき、10分程度おいてからカモミールを注ぐ方法もあります。
応用編として、「お湯1:牛乳2」の割合にしてカモミールなつめミルクティーにするのもおすすめ。
先に濃い目のなつめカモミールティーを抽出し、最後にあたためた牛乳で割ります。はちみつなどで甘味をつけるとよりおいしくいただけますよ。
うるおいプラスでアンチエイジング
血が不足する「血虚」の症状として、髪がパサパサで艶がなく抜け毛や白髪などのトラブルが目立つ。爪が割れやすい、肌荒れなどがあります。
特に髪は「血の余り」とも言われ髪のトラブルは、その人の血液の状態を表します。
目に見えてわかりやすい部分であり、外側からのケアはもちろん大切ですが、内側から「つややかにうるおす」ということは美容や老化防止の観点からも非常に重要で、血を補うという地道なケアが3年後、5年後、10年後のお肌や髪の状態に繋がってきます。
黒豆×クコの実×なつめのお茶レシピ
なつめ同様、血を補いからだをうるおす黒豆やクコの実をブレンドしたお茶は、うるおいの相乗効果で最強の「アンチエイジング茶」。
クコの実はドライアイ、眼精疲労、視力低下など目のトラブルにもおすすめです。
用意するもの
500ml程度のティーポットの場合
- 黒豆30g程度(市販のティーパックの黒豆茶などを使用も可)
- クコの実20粒程度
- なつめ10g(大きめのなつめで1個)
クコの実、なつめの配分はお好みで調整してください
- ①黒豆は水でよく洗い、水けをふき取ってから鍋(またはフライパン)で乾煎りをする。
- ②10~15分程度で皮がはじけ香ばしい香りがしたら火を止めて良く冷ます。
- ③ティーポットに黒豆、クコの実、細かく刻んだなつめを入れ、お湯を注いで5分程度でいただく。
黒豆はまとめて作って密閉容器で保存しておくと何かと便利。ご飯と一緒に炊いて黒豆ご飯にしたり、食べるときに少量の塩で乾煎りをしてお茶のお供にもなり、応用ができます。
まとめ
血は食事やお茶から作り出すことはもちろんですが、睡眠不足、目や頭の使いすぎなど体を酷使すると消耗が激しくなるともいわれます。消耗した後は補い、休息するというバランスが毎日の生活の中でとても大切です。
今回はなつめを手軽に取り入れ、気血を補うことで、こころとからだをととのえるというお話でした。
美味しく楽しく、体調管理していきましょう。